
月岡芳年(1839-92)による浮世絵「月百姿 左側: 盆の月/右側: かしかまし野もせにすたく虫の音よ 我たになかくものをこそおもへ」です。
「月百姿(つきのひゃくし)」は月をテーマとした全100点揃の大判錦絵で、のべ8年を掛けて完結し、月岡芳年(つきおかよしとし)の最後の大作・代表作の一つと評価されています。
「盆の月」は月百姿シリーズでは珍しく、5人の男女が「盆踊り」をする様子が描かれています。明治期に入ると風紀を乱すとして1874年には「盆踊り禁止令」が出されているため、この作品が製作される月岡芳年の晩年には禁止されていた「盆踊り」をあえてモチーフにしています。
右側に描かれているのは、平安時代の武将「平忠度(たいらのただのり)」です。女房に会いに行ったところ、女房が詠んだ詩がタイトル(訳:うるさく野いっぱいに鳴く虫の声よ。私が言えない代わりに伝えておくれ。あなたを愛していると)で、それを外からこっそり聞いた忠度。後日「なぜ会いに来てくれなかったのか」と問う女房に忠度は、女房の真意は下の句にあると分かっていながら「かしまし(=うるさい)」と聞こえたため」と答える風流な作品です。
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