
月岡芳年(1839-92)による浮世絵「月百姿 左側: 廓の月/右側: きよみかた空にも関のあるならば 月をとゝめて三保の松原」です。
「月百姿(つきのひゃくし)」は月をテーマとした全100点揃の大判錦絵で、のべ8年を掛けて完結し、月岡芳年(つきおかよしとし)の最後の大作・代表作の一つと評価されています。
「廓の月」では浅草にある新吉原遊廓の春の夜、月明かりの下で遊女と禿(かむろ)が散りゆく夜桜を眺める姿を描かれています。月百姿で遊女を描いた作品は意外に少なく、本作はその1枚です。芳年の描く遊女には芯の強さ、知的な優しさが感じられ、江戸時代の廓の女とは異なる江戸末期から明治に入った女性像が描き出されているのではないか感じずにはいられません。
右側は三保の松原を眼下に富士山と月を眺める武田信玄を描いています。清見潟は現在の静岡市の興津あたりの海岸で、清水港を挟み、三保の松原と対面する立地です。武田信玄戦国時代屈指の強さを誇った武将で「甲斐の虎」と呼ばれたことで知られています。武田軍の代名詞である武具の色を赤色に統一した「赤備え」で、戦いに臨む武田信玄の頭を守っていたとされている白い毛がついた「諏訪法性兜」(すわほっしょうのかぶと)です。
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