自宅に眠る掛け軸を高く売るための5つの準備

掛け軸買取骨董品買取 2025.06.23

掛け軸は準備次第で価値が上がる ―やっておきたい5つの準備―

実家に帰省することはあっても、押入の中や天袋の奥まで見たことはない、という人がほとんどだと思います。いざ実家の遺品整理をすることになって、初めて見るようなものがいろいろ出てきたという経験は多くの人が語るところ。実用品は誰かが使うなら引き取り、使わないなら不要品としてリサイクルに回すか廃棄するだけですが、骨董品類は値打ちのあるものが交じっているかもしれず、処分に迷います。「これもしかしたら、値打ちがあるかもしれない」「欲しい人がどこかにいるのでは」と気になってしまうからです。うっかり価値のあるものを見逃さないようにするためには、不要品一括回収業者などに任せきりにせず、骨董品や美術品を専門にしている買取店に査定を依頼するのが一番です。特に、代々続くような実家には陶磁器などと並んで掛け軸などが多く残されています。掛け軸は市場に出回る数が多く、玉石混淆で鑑定や査定が難しいものであることから、「とにかく見てください」と任せてしまうのではなく、依頼する側でもいくつか準備として行ったほうが良いことがあります。

1. ホコリを落とし、見てもらいやすい状態にする

当然のことですが、押入から引っ張り出し、ただ山積みにしたような状態では、査定する側も丁寧な扱いをしようという気持ちになれません。価値があるないに関わらず(そもそもそれは素人には分かりません)、ホコリをはらい、箱に入っていたら一度外にだして風に触れさせることも必要です。箱、軸とも気持ちよく手に取りやすい状態にしておきます。もちろん、強くこすったり汚れやシミを取ろうとして拭いたりすることは禁物。却ってシミや汚れを広げてしまう危険があります。丁寧に可能な範囲でホコリを払います。

2. 付属品を確認しておく

掛け軸にはしまうための箱が付いています。もともと季節毎、あるいは迎える客に合わせて掛け替えるのが当たり前のものですから、しまう箱は大切な付属品です。共箱と呼ばれる桐の箱が付属し、そこには作者自身の手で画題と署名が書かれています。作品の保証書という意味もあり、非常に重要なものです。受け継がれる過程で共箱が失われたりした場合には、弟子や遺族など、作者以外の手で画題や作者名を記した箱も存在します。また、こうした箱書きがまったくなく、ただ掛け軸のサイズに合わせた木箱だけがあるという場合もあります。いずれにしても箱書きがあるものは貴重品。鑑定の重要な材料にもなるので存在を確認しておくことが大切です。もちろん、無理に水拭きなどはしないこと。こちらも軽くホコリを払えば十分です。

3. 状態のチェックと記録

鑑定や査定は担当者が軸を広げた上で行います。まずは巻緒をほどくところからですが、長くしまったままにしていたものなど、結び目が固くなってなかなかほどけないこともあります。軸を広げる時も軸木を両手で持ってゆっくりと広げていきます。巻いたまま長くしまっておいたものはカビが生えたり虫食いがあったり、シミや汚れが広がっているものもあります。慌ただしく広げれば掛け軸を傷めることになります。持ち主は鑑定前の状態をしっかりと確認し、写真などで記録しておくと安心です。ただし開きにくいものを無理に広げることは禁物。そのまま扱いに慣れた鑑定依頼先に託しましょう。

4. 作家名、落款の撮影

特に掛け軸の作家名、落款と箱書があればそれを含めて撮影しておきます。これは真贋の鑑定に大きく関係する部分でもあるので全体を撮る時よりもアップでクリアに撮影しておくようにします。

こうした掛け軸の撮影画像は、持ち込みや出張での査定を受ける前に画像による簡易査定を受ける時に役立ちます。骨董品の査定でも、スマートフォンアプリのLINEで送られた画像を見て簡易査定を行う業者が増えています。最終的な見積もりは現物をみてもらったうえで出してもらうにしても、大体いくらくらいの買取になるか、あらかじめ画像送付だけで概算を示してもらうことができるようになりました。出張査定を依頼する準備としても、オンライン査定を受けておけば一定の心構えを持って実際の査定に臨むことができます。真贋がまったく分からないとか、価値のあるものかどうか見当が付かないという時に事前の簡易査定は有効であり、撮影画像があれば気軽に依頼できます。

5. 複数査定の前に情報整理

査定を受ける時は、その作家や作家が活躍した時代の美術界の動きについてある程度の知識を持っておくようにしたほうが、査定の結果をより満足のいくものにすることができます。まったく何も知らないままでは、ただ示された数字を「わかりました」と受け入れる以外に対応のしようがありません。何社に査定を依頼しても、どの答えにも「そうですか」と受け入れるだけです。しかし、もしその作家について多少の知識があり、作家が活躍した時代の美術界の動向につてある程度知っていれば「こういうところが特徴だと思うが、その評価はどうですか?」といった質問ができます。もう少し詳しく教えてもらいたいという意思表示をすることで、査定の担当者にプレッシャーをかけることもできます。「少し知識のある人だ」と分かれば査定者もきちんと見なければという、意識になります。自分なりに調べ知識を持っておくことは、より高い査定価格の提示につながる可能性があります。

やってはいけないNG行動とは?

品物はきれいに見えたほうが良いし、修復を依頼すれば高い費用がかかる。何とか自力できれいにできないか、と考える人がいます。しかし骨董品や美術品の世界で「自分できれいにする」という発想をもつことは禁物です。シミや汚れ、カビ、紫外線によるヤケなどは素人の手で消したり修復したりできるものではありません。ベースとなっている和紙や絹も経年による劣化が必ずあります。そこに強い力をかけてこすったり、特別の薬品などでシミや汚れを消そうとしてもうまくいきません。却って汚れの範囲を広げてしまったり、生地を傷めてしまうことになりかねません。現代は修復技術も発達しています。修復はプロの手で進めたほうがうまくいきます。査定もそれを前提に、こういう修復をすればここまで価値が上がる、ということを織り込んだ上で査定額を出すので、持ち主は自分できれいにしようと思うのではなく、修復はプロに託した方が、結局は得策です。

また「相見積もり」にこだわりすぎないことも大切です。複数の業者から査定をしてもらうことは、その品物がどれくらいの価値を持っているのか、その相場観を得るためには有効ですが、もっと高く買ってくれる店があるはずと、一番高い査定価格が得られるまで相見積もりを続けても、労力に比して得るものは多くありません。3社を5社、10社と増やしても、ますます業者選定に迷う場合もあります。「この買取専門店なら信頼できる。この店が出す数字なら納得できる」という信頼の置ける買取店を1店舗見つけるほうが確実であり、そういう店であれば、その後の付き合いも楽しめます。安心できる一店舗をぜひ見つけましょう。

信頼できる目利きのいる古美術永澤

⾻董品買取店は数多くありますが、古美術永澤は創業から 30 年、買取専⾨の美術商として⽇本全国で毎年 50 万点以上の古美術買取を⾏っている買取専⾨店の⼀つです 。代表は⾻董商であると同時にコレクターでもあり東京美術倶楽部内の「桃椀会」「桃李会」「笹塚会」「⼠友会」にて、多くの品を出品・落札しています。遺品整理などで見つかった大切な掛け軸の査定は、目利きに絶対の自信を持つ古美術永澤にお任せください。

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担当

骨董品買取コラム編集室

骨董目利き修行者

将来、古美術商になるため古美術永澤で修行中。愛読書は廣田不孤斎の歩いた道。