
釣鐘文硯
お客様より、典雅な彫刻が施された硯をお譲り頂きました。文人の精神世界と美意識が感じられる、長方形を基調としながら釣鐘硯の様式を備えた古典の風格漂う作品です。
釣鐘硯は宋時代の中国に成立し、日本には平安から鎌倉の時代に伝来したとされています。寺院の釣鐘の意匠と墨を磨りやすい実用的な形で、禅僧や公家、武家から愛用されました。
この作品は硯と硯蓋の双方に釣鐘の意匠が彫り込まれています。
硯は釣鐘の形に沿いながら瑞雲が浮彫で縁に巡らされ、上部や中心にも装飾的な雲文様が配されています。蓋には青銅器を想起させる文様が帯状に彫られており、古典的な格調ある雰囲気を与えています。これらの文様は吉祥や霊性を象徴し、文人趣味の世界観を反映しています。
また木製の硯箱が付属しており、蓋には蝙蝠を象った透かし彫りの玉石がはめこまれ、丁寧に誂えられたものであることが分かります。
墨堂(墨を磨る平面)は広く、使い込まれた痕跡として墨擦れによる自然な艶と濃淡が見られ、実用に供されてきた硯であることがうかがえます。座した文人が墨を磨り、書に向き合う静かな時間が息づいているように感じられます。
鑑賞用としても、また実際に墨を磨って用いる道具としても、書斎に堂々たる風格を添える硯といえるでしょう。
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