
大明年製 古染付瓢形薬入れ
小ぶりながらも深い趣を湛えた「大明年製」銘の古染付(こそめつけ)瓢形薬入れ、通称「薬瓢(くすりひょう)」をお譲りいただきました。
本作は、独特の愛らしい瓢箪の形状に、中国・明時代の染付磁器に見られる「古染付」特有の自由闊達な筆致で文様が描かれた逸品です。
古染付とは、明代末期の天啓期に景徳鎮の民窯で焼かれた染付磁器です。「虫喰い」と呼ばれる縁の剥がれがあるなど、あえて完璧を求めない素朴な味わいが侘び寂びの精神に通ずるとして、古くから日本の茶人や数寄者の間で珍重されてきました。
瓢箪は古来より「無病息災」を象徴する縁起物として尊ばれ、中に入れた薬の効能を保持すると信じられてきた歴史があります。さらに、明時代は特に染付技術が円熟味を増した時期でもありました。官窯の端正さとは一線を画す、民窯ならではの温かみのある表現が、この小さな薬瓢の中にも凝縮されています。
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