
日本画家・郷倉千靱(ごうくらじんせん)による花鳥画をお譲りいただきました。本作品には、竹の枝に留まる一羽の叭々鳥(ハハチョウ)が描かれています。叭々鳥とは中国原産のムクドリの一種で、ハッカチョウとも呼ばれます。全身が黒色で翼に白い斑点があり、この「八の字」の模様が名前の由来です。日本や中国の絵画では吉祥の象徴としてしばしば描かれてきました。特に「声がよく響く」ことから、子孫繁栄や福音を告げる瑞鳥として扱われ、竹との組み合わせにより「節操・清廉」「吉祥」を重ね合わせる意味を持ちます。
郷倉千靱(1892–1975)は、富山県出身で帝展・院展を舞台に活躍し、日本美術院同人、日本芸術院賞受賞、日本芸術院会員に列せられた近代日本画の大家です。花鳥画を得意とし、清らかで凛とした品格ある画風は高く評価されてきました。本作においても、簡潔な筆致ながら羽毛の柔らかさや眼差しの鋭さを的確に捉え、静謐の中に生命の鼓動を感じさせる千靱ならではの力量がうかがえます。
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