
刀装具の縁(ふち)
先日、お客様より素晴らしい刀装具の「縁(ふち)」をお譲りいただきましたので、ご紹介させていただきます。
お持ち込みいただいたのは、黒々とした地鉄に、金と銅の象嵌が施された、見事な縁でした。刀装具の縁は、刀の柄(つか)の頭部に取り付けられる金具で、刀全体の印象を決定づける重要な部品の一つです。
今回のお品は、まさにその役割を存分に果たす、卓越した美術性を備えていました。目を引くのは、向かって右側に配された動物の姿です。体躯の表現や、たなびくような尾の描写までが丁寧に彫り込まれており、作者の並々ならぬ技量がうかがえます。
左側には、水の流れや、その傍らに生い茂る草木が、金色で繊細に描かれています。これらの意匠が一体となって、見る者に深遠な物語を語りかけてくるようです。全体として、雅で趣のあるデザインであり、武具としての堅牢さと、芸術品としての優美さが融合しています。
最終的に、その歴史的価値、美術的価値、そして保存状態の良さを総合的に判断し、お客様にご納得いただける査定額で買取させていただきました。
刀装具は、単なる武具の付属部品ではありません。それぞれの時代、それぞれの職人の美意識と技術が凝縮された、まさに「小さな美術品」です。鍔(つば)や目貫(めぬき)、小柄(こうづか)、笄(こうがい)など、様々な種類があり、それぞれに独自の魅力があります。
もしご自宅に、代々受け継がれてきた刀装具や、価値が分からずにお持ちの古美術品がございましたら、ぜひ一度、私ども古美術永澤にご相談ください。一点一点、丁寧に拝見し、その真の価値を見極めさせていただきます。お客様の大切なお品物を、次へと繋ぐお手伝いをさせていただければ幸いです。
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