
十手
先日、お客様より、大変希少な古美術品「十手」をお譲りいただきました。
十手とは、江戸時代の捕物道具として広く知られています。その名の通り、捕縛を目的とした武器であり、打撃や相手の武器を絡め取ることに特化しています。刀の鍔(つば)のような「鉤」(かぎ)が特徴的で、これを使って相手の刀の切っ先を絡め取り、動きを封じました。また、非殺傷性の武器であるため、武士が身分を問わず罪人を捕らえる際に重宝されました。
今回お譲りいただいた十手は、比較的コンパクトなものです。柄の部分は黒漆塗りで、簡素ながらも堅牢な作りがうかがえます。特筆すべきは、棒身(ぼうしん)の表面に見られる独特の錆(さび)です。これは長い年月を経て自然に形成されたもので、この錆の深みが、この十手が本物の時代を経た品であることを物語っています。
特に目を引くのは、十手を収める鞘(さや)です。黒地に黄色の斑点がちりばめられた独特の模様が特徴的です。
今回の十手は、捕物道具としての実用性はもちろんのこと、美術品としての価値を評価しました。特に、十手本体だけでなく、鞘や下緒までが完品に近い状態で残っている点は、極めて稀なことです。
ご実家の整理や遺品整理の際に、ご自身では価値がわからない古美術品が出てくることは珍しくありません。一見、ガラクタに見えるものでも、歴史的な価値や美術的な価値を持つものが多くあります。もし、ご自宅に眠っている古い品がございましたら、ぜひ一度、古美術永澤にご相談ください。一点一点丁寧に査定し、その品が持つ本当の価値を見出し、適正な価格で買取させていただきます。
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