
刀の鍔 (つば) コレクション
この度、お客様より貴重な刀の鍔のコレクションを買取させていただきましたので、ご紹介させていただきます。
今回は、武士の美意識と職人の技が凝縮された、個性豊かな三つの鍔をお譲りいただきました。
まず、左側のシンプルな丸形鉄鍔は、その渋い風合いが特徴です。表面には、永きにわたる使用によって生まれたであろう、無数の細かな槌目(つちめ)が施されています。派手な装飾を排し、実用性を追求したこの鍔からは、研ぎ澄まされた武士の精神性が感じられます。
次に中央の鍔は、この鍔は、扇をモチーフにしたデザインが巧みに取り入れられており、開いた扇の骨組みが繊細に表現されています。扇は、末広がりの形から縁起が良いとされ、武家の間で好まれた文様の一つです。また、わずかに残る金象嵌(きんぞうがん)は、かつての華やかさを偲ばせます。装飾的な要素を持ちつつも、全体としては落ち着いた色合いでまとめられており、武士の刀剣に品格を与えていたことでしょう。
そして、右側の鍔は、細密な彫金と金の色絵が施された、非常に技巧的な作品です。躍動感あふれる龍と、雲のような抽象的な文様が、立体的に表現されています。龍は、古来より力や権威の象徴とされており、この鍔の持ち主が、相当な身分の人物であったことを想像させます。金色の色絵は、龍の威厳を一層引き立て、刀剣全体に豪華絢爛な印象を与えていたに違いありません。この精緻な彫刻からは、当時の刀装具師の並外れた技術力がうかがえます。
今回、買取させていただいた三つの鍔は、それぞれ異なる時代、異なる美意識、異なる技法で製作されています。しかし、共通して言えるのは、いずれも単なる刀の部品ではなく、持ち主の個性や、当時の文化、そして何よりも職人の魂が込められた「美術品」であるということです。
古美術永澤では、今回のような刀装具はもちろん、古美術品全般の査定・買取を行っております。お手元に気になるお品物がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
関連買取実績
-
2025.08.25
-
2025.08.22
-
2025.08.19
-
2025.08.05