
蒔絵の印籠
蒔絵の印籠をお譲りいただきました。
江戸時代の粋な男性たちが腰に下げていた小さな工芸品が「印籠(いんろう)」です。本来は薬などの細かな品を携帯するための実用品でしたが、やがてその小さな器に、職人たちの緻密な技巧が凝縮され、地位や教養を誇示する装身具としても発展しました。現代では、美術品としての価値が高く、骨董品市場でも人気のある品です。
印籠は、上下に分かれる数段の箱を紐で束ね、留め具の「緒締(おじめ)」とともに「根付(ねつけ)」と呼ばれる飾りを用いて帯から吊るして持ち歩く構造になっています。そして、漆や蒔絵、螺鈿、象牙、金銀など、当時の最高級の素材と技術が用いられており、まさに携帯する美術品とも言える存在です。
特に評価が高いのは、蒔絵(まきえ)技法で装飾された印籠です。金や銀の粉を漆にまいて絵柄を描くこの技法は、緻密さと華やかさを兼ね備えており、名工の手による作品は高い値が付くこともあります。
また、印籠の面白さはその装飾にもあります。風景や花鳥、漢詩、神話、武将など、多様なテーマが題材として描かれ、それぞれに当時の人々の思想や美意識が反映されています。
印籠は見た目だけでは価値が判断しにくく、専門知識と経験が必要とされます。保存状態や作家の銘、蒔絵の技術などによって、買取価格が大きく変わるため、安易に手放す前に専門家の査定を受けることが大切です。
遺品整理で印籠が出てきたけれど価値が分からないという方は、ぜひ古美術永澤にご相談ください。
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