
堆朱(ついしゅ) 花鳥文様箱
堆朱(ついしゅ)の花鳥文様箱をお譲りいただきました。堆朱は中国で生まれた漆芸技法の一つで、朱漆を何十層にも重ね塗りし、その表面に精密な彫刻を施す高度な工芸技術です。
本作品は三段重ねの箱形で、全面に花鳥文様が彫り込まれております。上段と中段には牡丹の花卉文様が密に配されています。注目すべきは、葉脈や花弁の細部まで丁寧に彫られた技術の高さです。
堆朱の製作は、まず木地に下地を施し、その上に朱漆を塗り重ね十分な厚みを確保した後、表面に下絵を描き、彫刻刀で文様を彫り出していきます。この工程は熟練の職人でも数ヶ月を要する非常に手間のかかる作業です。
今回の作品は、全体的に良好な保存状態を保っており、大きな欠損や退色は見られませんでした。漆の艶やかな光沢も残っており、製作当時の美しさを今に伝えています。
査定においては、彫刻の精密さ、漆の発色の美しさ、全体のバランス、そして保存状態を総合的に評価いたしました。特に、花鳥文様の構図の巧みさと、細部まで行き届いた彫刻技術を評価させていただきました。
堆朱は現在も人気のある古美術分野の一つです。特に明治期以降の日本で製作された堆朱作品は、中国の伝統技法を継承しながらも日本独自の美意識が加わった貴重な作品として評価されています。
近年、コレクターを中心に堆朱への関心が高まっており、状態の良い作品は安定した需要が見込まれます。また、手仕事による精密な工芸品への再評価も追い風となっています。
総合的な査定の結果、市場相場と作品の品質を勘案し、適正な価格での買取をさせていただきました。
このような貴重な漆芸作品をお持ちの方は、ぜひ、専門の目利きのいる古美術永澤までご相談ください。
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