
象牙製の蒔絵香箱
先日、大変素晴らしい象牙製の蒔絵香箱をお譲りいただきましたのでご紹介いたします。
お持ち込みいただいたお客様は、遺品の整理をされている際にこの香箱を見つけられたとのこと。
今回お譲りいただいた香箱は、希少な素材である象牙が用いられ、その上に日本の伝統工芸である蒔絵が施された逸品です。象牙の柔らかな乳白色の肌に、金や銀、色漆を用いて描かれた植物や蝶の意匠は、精緻でありながら、どこか優しげな雰囲気を醸し出しています。
特に目を引くのは、その立体感と奥行きです。香箱の蓋には、藤の花がしだれ、その傍らを蝶が舞う姿が生き生きと描かれています。また、側面には野に咲く草花が繊細な筆致で表現されており、香箱をどの角度から見ても、雅やかな日本の風景が広がります。
香箱は、香木や練り香などを収納し、香りを楽しむための道具として、古くから日本の文化に深く根付いてきました。茶道や香道といった伝統芸術の中で用いられるだけでなく、調度品としても重宝され、その意匠には作り手の高い美意識と技術が込められています。
本品は、保存状態は良好で、蒔絵に剥がれや擦れがほとんど見られず、大切に受け継がれてきたことが伺えました。象牙の希少性、そして高度な蒔絵の技術、さらにはその意匠の美しさから、最大限の評価をさせていただき、お客様にもご納得いただくことができました。
古美術品には、時代を超えて受け継がれる美意識や職人の魂が宿っています。私たちは、そうした価値あるお品物を次世代へと繋ぐお手伝いをさせていただきたいと願っております。
ご自宅に眠る美術品や骨董品がございましたら、ぜひ一度、私ども古美術永澤にご相談ください。一点一点、査定士が丁寧に拝見し、その価値をしっかりと見極めさせていただきます。
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