
池田泰真(いけだ たいしん)作の蒔絵煙管入(まきえ きせるいれ)
先日、弊社に大変貴重な古美術品が持ち込まれました。それは、幕末から明治時代にかけて活躍した蒔絵師、池田泰真(いけだ たいしん)作の蒔絵煙管入(まきえ きせるいれ)です。
池田泰真は、文政8年(1825年)に江戸で生まれ、11歳の時に柴田是真に入門し、約25年間もの間、内弟子として画と蒔絵の研鑽を積みました。柴田是真は、幕末から明治にかけて活躍した偉大な蒔絵師であり、池田泰真は是真の一番弟子とも言われています。
彼の作品は、繊細かつ大胆な構図、そして豊かな色彩感覚が特徴で、特に植物や鳥獣をモチーフにした作品は高く評価されています。帝室技芸員にも任命され、その技術と芸術性は国内外で認められていました。
今回買取させていただいた煙管入は、まさに池田泰真の真骨頂ともいえる逸品です。深い緑色の地に、金色の波文様が上品に描かれ、その中に鮮やかな色彩で菊の花が表現されています。特に目を引くのは、高蒔絵によって立体的に表現された菊の花々です。薄紫、赤、金色の菊が、それぞれ異なる表情を見せ、見る者を惹きつけます。
煙管入の下には、「泰真」と金色の文字で銘が刻まれており、これが池田泰真の真作であることを示しています。保存状態も良く、製作されてから150年以上の時を経ているにもかかわらず、漆の艶やかさや蒔絵の輝きは失われていません。これは、持ち主の方が大切に扱ってこられた証であり、同時に池田泰真の卓越した技術と、素材への深い理解があったからこそと言えるでしょう。
古美術品は、単なる古い品物ではありません。そこには、時代を超えた美意識や職人の魂が宿っています。私ども古美術永澤では、そうした価値ある古美術品を正しく評価し、次世代へと繋いでいくことを使命としています。
ご自宅に眠っている骨董品や美術品がございましたら、ぜひ一度、古美術永澤にご相談ください。専門の査定士が、一点一点丁寧に拝見し、その価値を最大限に評価させていただきます。お客様の大切な品物を、次の大切にしてくださる方へと橋渡しするお手伝いをさせていただければ幸いです。
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