
根付 干し鮭
大変素晴らしい「干し鮭」の根付をお譲りいただきました。一目見て驚かされるのは、その圧倒的な写実性と細部へのこだわりです。鮭の身が引き締まり、乾燥して皮がピンと張った質感、そして力強く開いた口元から覗く鋭い歯の表現に至るまで、職人の並々ならぬ執念が感じられます。
鱗の一枚一枚が精密に刻み込まれ、経年による深みのある色艶が、鮭の生命力とその後の静かなる佇まいを見事に表現しています。当時の名工が持てる技術の粋を尽くし、自然の造形美を掌中の宇宙に閉じ込めた一級の芸術品といえるでしょう。
根付という文化は、江戸時代、着物の帯に印籠や巾着などの提げ物を吊るす際の留め具として発展しました。実用的な道具でありながら、当時の人々はそこに独自の美意識や遊び心を注ぎ込みました。
特に干し鮭のような意匠は、庶民の暮らしに根ざした親しみやすさと「外しの美学」を感じさせる、江戸っ子たちの間で広く愛されたモチーフです。
古美術永澤では、こうした名工の魂が宿るお品物を大切にお預かりしております。お手元に眠っている根付や提げ物がございましたら、ぜひ古美術永澤にご相談ください。
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