
藤田嗣治による「五人の裸婦」を題材としたロイヤルコペンハーゲン製の陶画です。藤田は乳白色の肌表現と繊細な線描によって独自の裸婦像を確立し、エコール・ド・パリを代表する画家として国際的な評価を得ました。本作「五人の裸婦」も、そうした藤田の代表的主題のひとつであり、陶板画として再現されたことで独特の質感を伴っています。
陶画(陶板画)とは、陶磁器の板に絵付けを施し、高温で焼成して定着させた作品形式のことです。絵具が釉薬(ゆうやく)層に融け込むことで発色が安定し、紙やキャンバス作品と異なり退色や劣化に強いのが特徴です。
ロイヤルコペンハーゲンはデンマークの名窯として知られ、19世紀以降は絵画的な表現を陶板に移す試みを積極的に行いました。藤田の作品が陶画として制作されたのは、その国際的評価と美術的価値を背景にした特別なプロジェクトといえます。
本作に描かれた五人の裸婦は、藤田特有の乳白色の肌合いとしなやかな線描で表現され、背景には猫が登場するなど、彼らしい遊び心も加えられています。陶板の光沢は女性像の肌をより艶やかに見せ、油彩やリトグラフとは異なる深みを生み出しています。
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