
飾り火箸
先日、貴重な飾り火箸をお譲りいただきました。
お持ちいただいた火箸の存在感を際立たせるのは、軸に施された精緻な彫刻です。表面は渋い銀色の鈍い輝きを放ち、長年の使用によって育まれた古艶が、その歴史を物語っています。
一般的に火箸は、囲炉裏や火鉢で炭を扱うための道具ですが、実用性だけでなく、その意匠にも凝ったものが多く存在します。今回お譲りいただいた火箸もまさにそのひとつです。彫刻が施された火箸は珍しいものではありませんが、その保存状態の良さ、そして何よりも彫刻の主題や技巧の高さから、単なる日用品としてではなく、美術工芸品としての価値を強く感じさせます。
特筆すべきは、火箸の根本(画像右端)に施された立体的な彫刻です。この精緻な彫刻が、存在感のある造形となっています。
このような彫刻入りの飾り火箸は、武家や富裕な商人階級の邸宅で用いられ、客をもてなす際の道具としてもその美しさが披露されたことでしょう。当時は、こうした日用品にも美意識を凝らすことが粋とされ、多くの職人がその技術を競い合いました。今回お預かりした火箸も、まさにそのような背景の中で生み出されたものと考えられます。
お客様からは、「ずっと大切にしてきたものですが、この価値を分かってくださる方に引き継いでほしい」とのお言葉をいただきました。私達もこの火箸が持つ歴史と美しさを深く理解し、適正な価格で評価させていただきました。
古美術品は、単に古いというだけでなく、その時代背景、職人の技術、そしてその品が辿ってきた物語までをも含めて価値が生まれます。今回の飾り火箸も、まさにそうした物語を含んだ逸品です。
もしご自宅に眠っている骨董品がございましたら、ぜひ一度古美術永澤にご相談ください。一点一点丁寧に拝見し、その真の価値を見極め、次へと繋ぐお手伝いをさせていただきます。
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