
七宝(しっぽう) 香合
先日、お客様より、七宝(しっぽう)香合をお譲りいただきました。今回は、その素晴らしいお品についてご紹介させていただきます。
ご覧の通り、一対になった珍しい香合です。蓋を開けると、片方には深い緑色の七宝が施されており、もう片方には詰め物が入っています。この詰め物も、おそらく当時のものと思われ、香合として使われていた歴史を物語っています。
この香合の最大の特徴は、何と言ってもその七宝の美しさにあります。蓋の表面には、鮮やかな黄色と水色のストライプが交互に配されており、その間に施された白地に繊細な模様が浮かび上がっています。この模様は、よく見ると中国の伝統的な文様である「雷文」のような連続した螺旋が描かれており、当時の職人の高い技術を感じさせます。
七宝とは、金属の素地にガラス質の釉薬を焼き付けて作る工芸品です。日本の七宝は、明治時代に大きく発展し、特に海外輸出向けの工芸品として高い評価を得ました。この香合も、その時代の雰囲気を色濃く残しており、緻密な仕事ぶりから上質な品であることがわかります。
香合は、お香を入れるための小さな蓋物で、茶道具の一つとしても珍重されてきました。しかし、この一対の香合は、その形状から見て、薬入れや印籠のような携帯用の小物入れとして使われていた可能性も考えられます。もちろん、香合として使われていたとしても、そのデザインのユニークさから、持ち主の洒落っ気や美意識の高さがうかがえます。
底面や内側の金色の輝きもまた、この香合の格調を高めています。経年によるわずかな擦れや使用感はありますが、それがかえって本物の風格を醸し出しています。こうした古美術品は、単に美しいだけでなく、それぞれの時代背景や文化、そして人々の暮らしの物語を内包しているからこそ、私たちの心を惹きつけるのです。
今回、この貴重な七宝香合を大切にお持ちいただき、本当にありがとうございました。古美術永澤では、このような七宝工芸品はもちろん、幅広いジャンルの古美術品の買取を行っております。ご自宅に眠っているお品物がございましたら、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。専門の査定士が、一点一点丁寧に査定させていただきます。
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