
加藤幸兵衛 赤絵香合
先日、お客様より、大変素晴らしいお品物をお譲りいただきました。加藤幸兵衛(かとう こうべえ)作の赤絵香合です。
香合とは、お茶席でお香を入れる小さな蓋つきの器のこと。炭点前(すみてまえ)の際に炉の炭の上に香を焚くために用いられます。お茶席に彩りを添える香合は、茶人の遊び心や季節感を表す大切な道具として、様々な作家によって多種多様な作品が生み出されてきました。
このお品は、香合全体を覆うように描かれた繊細な赤絵が目を引きます。白磁の柔らかな地色に、流れるような線で描かれた唐草文様と、鮮やかな緑色で表現された葉、そして中心に配された赤絵の花が、見事な調和を生み出しています。
赤絵とは、釉薬をかけて焼き上げた陶磁器の上に、赤色の顔料で絵付けを施し、再度低温で焼き付ける技法のこと。この香合に描かれた赤絵は、ただ色を付けるだけでなく、線一本一本に熟練の技と美意識が宿っています。線の強弱や筆の動きが生み出す躍動感、そして釉薬の透明感と赤絵の力強さが絶妙に絡み合い、見るものを惹きつけます。
この香合は、木箱に入っており、箱書きには「幸兵衛作」の署名と印が押されています。箱は、作品を大切に保管するためのものであり、作家が本物であることを証明する役割も果たします。箱の有無や状態も、査定の重要なポイントとなります。
今回の査定では、加藤幸兵衛の芸術性が凝縮された逸品で、共箱が揃っている点、保存状態が良い点も加味し、お客様にご満足いただける金額での買取となりました。
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