
歌川国貞(三代目歌川豊国)による歌舞伎の役者絵です。
主題の濡髪長五郎(ぬれがみちょうごろう)と放駒長吉(はなれごまちょうきち)は、歌舞伎の演目「双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)」に登場する人気力士です。
人気力士で大関の濡髪が、自分を贔屓にしてくれている若旦那の与五郎と、その恋仲である遊女・吾妻が結ばれるように、わざと素人力士の放駒に相撲の勝ちを譲った、というシーンです。
浮世絵師・歌川国貞(三代目歌川豊国)は、相撲取りを直接描いた相撲絵も制作しましたが、この作品はそうではなく、歌舞伎芝居の中で相撲取りを演じる役者の姿を描いたものです。江戸時代の浮世絵では、こうした芝居の人気場面や人気役者を描いた役者絵が主流であり、この作品もその一例となります。
若く元気な放駒の躍動感溢れる構えと、威厳ある濡髪の堂々とした構えの対比が、分かりやすく描かれています。
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