
近代中国絵画の巨匠・斉白石(せいはくせき)による「黒松鷹」です。
墨一色で描かれた堂々たる鷹の姿は、力強さと静けさを兼ね備えた、まさに斉白石らしい名品です。
斉白石(1864–1957)は、湖南省の農家に生まれ、青年期に独学で絵と篆刻を学びました。
貧しい境遇から身を起こし、書・画・印を一体とした「三絶の人」として知られます。
彼の作品は、中国伝統の文人画を基礎としながら、民間的で温かみのある題材を描く点に特徴があります。
小動物、花鳥、野菜、虫など、身近なものに生命感を宿すように描き、その飾らない誠実な筆致が多くの人に愛されました。
本作「黒松鷹」では、墨の濃淡を巧みに使い分けながら、鷹の羽毛や爪の質感を見事に表現しています。
黒松の枝にとまる鷹の姿は威厳に満ち、鋭い眼差しからは生気と緊張感が伝わります。
全体の構図は簡潔でありながら、筆の勢いと余白の呼吸が調和し、見る者に深い印象を残します。
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