
歌川国芳(一勇斎国芳)による大判錦絵「通俗水滸傳豪傑百八人之一個・浪子燕青」をお譲りいただきました。国芳は江戸後期を代表する浮世絵師であり、武者絵や歴史画の名手として知られます。特に中国の物語『水滸伝』を題材とした一連のシリーズは、豪傑たちの個性的な姿を迫力ある構図で描き出し、当時の庶民に絶大な人気を博しました。
本作に描かれた「浪子燕青」は、108人の豪傑の中でも才知と美貌を兼ね備えた人物として知られ、弓術・相撲・芸事に秀でた多才な好漢です。国芳はその特徴を存分に引き出し、力強くしなやかな肉体美や全身に施された刺青を鮮やかに表現しています。背景の動きある構図や、衣装の装飾性豊かな文様は、鑑賞者に燕青の魅力と気迫を直感的に伝えるものとなっています。
国芳の「通俗水滸傳豪傑百八人之一個」シリーズは、単なる物語絵にとどまらず、江戸時代の庶民文化や理想化されたヒーロー像を反映した作品群として高く評価されています。本作もその中の一枚として、武者絵の躍動感、人物の個性の際立ち、そして装飾性と写実性の融合といった国芳の真骨頂を示しています。
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