
三代 歌川豊国(歌川国貞)による浮世絵「東海道五十三次の内 大津 又平(おおつ またへい)」です。
「役者見立東海道」と呼ばれるシリーズ作品の一つで、手前に役者絵、背景に演目や登場人物に関係する宿場の風景(この場合は大津宿)が配されており、三代目 中村歌右衛門が演じる「又平」を演じている様子が描かれています。
又平は歌舞伎の演目『傾城反魂香(けいせいはんごんこう)通称「吃又(どもまた)」』の登場人物で、土佐将監(とさのしょうげん)という絵師の弟子の又平とその妻お徳(おとく)の夫婦愛を描いた作品です。
又平は絵の才能がありながら吃音(きつおん)のために師匠から名字を許してもらえず、絶望して妻と共に自害しようとします。しかし、手水鉢(ちょうずばち)に描いた自画像が反対側に抜け出るという奇跡が起こり、彼の画才が認められます。
この演目中の「浮世又平住家」の場は、又平が大津絵の絵師として暮らしている設定で、実際には大津絵は無名の絵師たちによって描かれていましたが、この人気演目の影響で、「大津=又平」というイメージが定着したことで大津に又平の役者絵が描かれました。
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