
三代 歌川豊国(歌川国貞)による浮世絵「東海道五十三次の内 大磯 とら(おおいそ とら)」です。
「役者見立東海道」と呼ばれるシリーズ作品の一つで、手前に役者絵、背景に演目や登場人物に関係する宿場の風景(この場合は大磯)が配されており、歌舞伎役者の七代目 岩井半四郎が「虎御前(とらごぜん)」に扮している様子が描かれています。
虎御前は「曽我物(そがもの)」と呼ばれる演目群に登場する遊女です。
曽我物は鎌倉時代初期に実際に起こった「曽我兄弟の仇討ち」を題材としており、何百年もの間、歌舞伎などの芸能で演じられている演目のことを言います。
虎御前は曽我十郎祐成(そがのじゅうろうすけなり)の恋人でした。二人は愛し合う仲になったものの、十郎は前述のとおりに仇討ちを決行し、帰らぬ人となったのです。その後、虎御前は出家をし、彼女は日本各地を巡って兄弟の菩提を弔い、供養に生涯を捧げました。
虎御前の悲嘆は、旧暦5月28日(兄弟が亡くなった時期)に降る雨に「虎が雨(とらがふり)」と名付けられた伝承として今も残っています。
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