
三代 歌川豊国(歌川国貞)による浮世絵「東海道五十三次の内 江尻 弥次郎兵衛(えじり やじろべえ)」です。
「役者見立東海道」と呼ばれるシリーズ作品の一つで、手前に役者絵、背景に演目や登場人物に関係する宿場の風景(この場合は江尻)が配されており、歌舞伎役者の二代目 中山文五郎(なかやまぶんごろう)が「弥次郎兵衛」に扮している様子が描かれています。
弥次郎兵衛(弥次さん)は十返舎一九の滑稽本「東海道中膝栗毛(とうかいどうちゅうひざくりげ)」の主人公の一人です。
屋号は「栃面屋(とちめんや)」。太っており、作者によると「仕事もしない遊び人。顔は道化者。色男に見えるが、おしゃべりで的外れ」といわれている。作中では下俗で軽薄な性格で描かれているが、一方で楽器を演奏し、古今の書籍に通暁し、狂歌や漢詩、また法律文書も自在に作成するなどきわめて教養の高い人物としても描かれます。
弥次郎兵衛ともう一人の主人公 喜多八は作品の中で、浄瑠璃・歌舞伎・落語・川柳などを下敷きとする会話を繰り広げます。これは十返舎一九の教養の現れで、江戸の庶民はその物語だけでなく洒落た言い回しに大喜びしたそうです。
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