
三代 歌川豊国(歌川国貞)による浮世絵「東海道五十三次の内 藤枝 相模(ふじえだ さがみ)」です。
「役者見立東海道」と呼ばれるシリーズ作品の一つで、手前に役者絵、背景に演目や登場人物に関係する宿場の風景(この場合は藤枝)が配されており、歌舞伎役者の瀬川菊之丞が「相模」に扮している様子が描かれています。
相模は「一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)」の「熊谷陣屋(くまがいじんや)の段」に登場する熊谷直実(くまがいなおざね)の妻です。
相模は熊谷次郎直実の妻で小次郎の母。若き日、京で藤の局(ふじのつぼね)に仕え、直実と恋に落ち不義の子を宿します。処罰の危機を藤の局の情けで救われ、東国へ下って夫婦となりました。十六年後、初陣の息子を案じ陣屋を訪れるが、身替りとして討たれた首が小次郎と知り、恩人であり主君でもある藤の局への報恩と、母としての情の狭間で、武家の妻として涙を押し殺し悲嘆を呑み込む姿が「相模のクドキ」に深い哀切を刻む演目です。
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