
初代 歌川広重による浮世絵「富士三十六景 左側の作品:武蔵多満川(むさしたまがわ)と右側の作品:武蔵小金井(むさしこがねい)」です。
富士三十六景は広重がその画業の晩年に手掛けた富士山をテーマにしたシリーズで、葛飾北斎に対抗して描いたと言われています。
武蔵多満川は、現在の東京都日野市付近の多摩川のことで、甲州街道が多摩川を渡河する日野の渡しの東岸から西岸に富士を眺望する構図です。渇水期になると本図のように橋がかけられたと言われています。縦長の画面に巧みに構成して、のどかで広々とした河川敷の景観を描き写しています。
武蔵小金井は、現在の東京都小金井市の玉川上水堤です。元文2年(1737年)江戸幕府の新田開発の一環として玉川上水の両岸に植樹されたヤマザクラの並木は「名勝 小金井桜」です。大きな桜の木を大胆に手前に配し「うろ(洞)」から富士山を覗くという、広重らしいユニークで遊び心のある構図が特徴です。玉川上水の両岸を覆う桜と、水の青色、岸辺の緑と、明るい彩りが春らしい作品となっています。
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