
初代 歌川広重による浮世絵「富士三十六景 左側の作品:下総小金原(しもうさ こがねはら)と右側の作品:甲斐犬目峠(かい いぬめとうげ)」です。
富士三十六景は広重がその画業の晩年に手掛けた富士山をテーマにしたシリーズで、葛飾北斎に対抗して描いたと言われています。
下総小金原は現在の千葉県松戸市周辺にあった、幕府直轄の軍馬育成地「小金牧」を描いています。ゆるやかな起伏が続く小金原の、のどかな風景を描いています。2頭の馬、2本の松の木、赤いつつじが効果的に遠く開けた平野を表現しています。広大な原野に放し飼いの馬が群れ遊ぶ風景は江戸近郊では珍しいものなので、数々の紀行文に記され、絵にも描かれています。
甲斐犬目峠は、山梨県上野原市付近の犬目峠から望む富士山を描いています。八王子から小仏峠の関所を過ぎると街道は山間部を縫うように進むので、実はほとんど富士山は見えない。ただ一か所、富士が顔を覗かせるのがこの犬目峠です。『甲州日記』と称される旅日記の中で犬目峠についても記し、スケッチも残していますが、本図のような景色は実際にはないそうです。
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