【湿気対策】梅雨のジメジメでコレクションがカビる!?専門家が「夏越の祓」をすすめる理由とお手入れガイド

季節の話題 2026.06.04
夏越大祓における「茅の輪くぐり」

夏越大祓における「茅の輪くぐり」

「夏越の祓(なごしのはらえ)」とは?

慌ただしい日々が過ぎ、気づけばもう間もなく一年の折り返し。

梅雨時期特有の湿気に加えて、真夏のような暑さもすでに感じられるようになり、

疲れを感じている方も多いのではないでしょうか?

そんな今の季節は、「夏越の祓(なごしのはらえ)」で心身をリセットしてみてはいかがでしょうか。

夏越の祓とは、毎年6月30日と12月31日の晦日(みそか)に行われる「大祓(おおはらえ)」のひとつです。『古事記』にも登場する日本神話の神・イザナギノミコトが、黄泉の国から戻った際に「禊祓(みそぎはらえ)」を行ったことが由来とされており、701年(大宝元年)には宮中行事として制定されました。

大祓は、日々の罪や穢れを払い、災いが起きないように心身を清めることが目的です。

とくに夏越の祓では、一年の折り返しのタイミングで半年分の溜まった穢れを払い、残り半年の無病息災を願うことを目的にしています。

応仁の乱(1467年〈応仁元年〉〜1477年〈文明9年〉)による京都の混乱や、神仏習合の影響によって、一時は大祓が途絶えてしまった時期もあったようですが、人々の間では継承されており、1871年に明治政府によって正式に復活し、現在では全国各地で実施されるようになりました。

現代と違い、昔は国内情勢も不安定でしたし、医療や農業も未発達でした。

一年を無事に過ごすことへの願いが今よりも切実だったことが、大祓が続いてきた理由のひとつなのかもしれません。

この記事を読んでご興味をお持ちの方へ

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夏越の祓では何をする?

夏越の祓では、全国の神社でさまざまな神事や風習が行われています。
なかには、現在でも気軽に参加できるものや、ご家庭で楽しめる風習もあります。

茅の輪(ちのわ)くぐり

茅(ちがや)と呼ばれるイネ科の草でまとめられた大きな輪をくぐる儀式です。

八の字を描くように、茅の輪を左・右・左の順で3回くぐることで、過去・未来・現在の罪や穢れを払い、災いを避けることができると言われています。

夏越大祓における「茅の輪くぐり」

夏越大祓における「茅の輪くぐり」

画像出典:Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

この儀式は、神であるスサノオノミコトが旅の途中で宿を求めていたところ、貧しいながらも一晩もてなしてくれた蘇民将来(そみんしょうらい)という男のために、お礼として疫病除けの茅の輪を腰につけさせ、一家を病気から守ったという故事が起源となっています。

 

人形(ひとがた)流し

人形流しとは、自身の身代わりとなる人の形をした紙に、自分の名前や生年月日を記入して、海や川に流したり、火に焚べたりすることで、罪や穢れを流す儀式です。

 

水無月(みなづき)

「水無月」とは、三角形のういろうの上に、邪気を祓うとされている小豆をのせた和菓子のこと。元々は、京都を中心に夏越の祓の時期に食べられていたお菓子ですが、現在では「虎屋」や「鶴屋吉信」など、老舗和菓子屋さんが6月から百貨店などで販売しています。もちろん街の和菓子屋さんでも販売しているところがあるので、梅雨の晴れ間のお散歩ついでに探してみるのもおすすめです。

 

水無月

水無月

 

中掃除でお家の汚れを落として空間もリセット!

心身をリセットする夏越の祓の時期は、家を掃除するにも絶好のタイミングです。

湿度が上がって身体が重く感じやすい時期ですが、晴れた日の午前中は比較的活動しやすい時間帯です。半年分のたまった汚れを落として、家の中をリセットしてしまいましょう。

 

梅雨時期のお掃除ポイント―湿度60%が危険ライン!カビを繁殖させないために―

この時期、一番気を付けたいのはカビ対策。カビは「温度・湿度・汚れ」の3つの条件が揃うことで繁殖します。なかでも、カビは湿気を好むため、湿度管理が一番重要となります。

繁殖条件が整う危険ラインは湿度60%。70%以上になると急速に進行し、放置するとカビが一気に広がる原因になります。カビを抑制するためには60%以下、可能であれば50%程度を目安にすると安心です。また、埃はカビにとって栄養となる有機物(食べかす、髪の毛、石鹸かすなど)がたくさん含まれていますので、特に湿気を感じやすい場所はこまめに掃除をしましょう。

 

梅雨から大切な古美術品を守る―掛け軸と器のお手入れ方法―

掛軸のお手入れと収納方法

掛軸は、「飾りっぱなし」と「しまいっぱなし」が傷みの原因につながります。特に梅雨時期の掛け軸は湿気による紙のダメージやカビの危険がありますので、床の間に掛けっぱなしにはせず、定期的に交換しましょう。

収納する際は、プラスチックケースの中に防湿シートや防虫剤を入れて保管することも効果的ですが、できれば桐箱を用意し、和紙に包んで収納してください。紙は、原料の繊維が空気中の水分を吸い、湿度が下がると水分を吐き出すという「呼吸」を繰り返しています。湿度が急激に変化すると、この呼吸が乱れ、紙の反りや、カビ発生の原因につながります。それを予防するのが、調湿と防虫に優れた桐箱なのです。

また、和紙も呼吸して調湿してくれるため、和紙に包むことで掛け軸の紙を保護してあげることができます。ただし、和紙もだんだんと古くなっていきますので、定期的に交換するなどして、細やかなケアを心がけましょう。なお、万が一掛け軸にカビが発生してしまった場合は、自身で取り除こうとすると紙が傷ついてしまう場合があります。このような際は、無理にご自身で対処しようとはせずに、修復を請け負っている専門会社に相談しましょう。

掛軸のお手入れと収納方法

掛軸のお手入れと収納方法

 

収納棚も空気の入れ替えを

大事な陶器・漆器類をしまっている収納棚も、定期的に空気の入れ替え、お掃除をしましょう。とくに長期間しまったままになっている器類や漆器は、湿気がこもることでカビや臭いの原因になる場合があります。天気の良い日は扉を開け、風を通してあげるだけでも状態維持につながります。また、棚板に溜まった埃はカビの繁殖にもつながってしまいますので、定期的に乾拭きを行うと安心です。

 

もしも器にカビや臭いが付着してしまったら

漆器の場合

漆器の縁高

漆器の縁高

〈漆器の臭い対策〉

見た目は綺麗だけど臭いが気になる…という場合は、まずはぬるま湯でやさしく洗って、その後数日~一週間程度、陰干ししてみましょう。この際、漆器は紫外線や乾燥に弱いので、

直射日光やエアコンの風が当たるような場所は避けてください。

〈漆器のカビ対策〉

漆器にもしもカビが付着してしまったら、まずは白カビか黒カビか観察してみましょう。白カビであれば、消毒用のアルコールを柔らかい布にしみこませてカビをふき取ったあと、家にある中性洗剤(食器用洗剤)と柔らかいスポンジで丁寧に洗い、よく乾かせば取り除くことができます。ただし黒カビの場合は器の内側にまでカビの根が張ってしまっている可能性が高いので、カビ取りの専門会社などに相談するのが良いでしょう。

 

陶器の場合

 

 

〈陶器の臭い対策〉

陶器に染み付いた臭いには、重曹が効果的です。1Lの水に重曹大さじ3~4程度を入れた重曹水を作り、その中に数時間~半日程度漬け込んだ後に洗って十分に乾かせば臭いは取れます。もしも一回で臭いが取れなければ、これを2~3回繰り返してください。

〈陶器のカビ対策〉

陶器に付着したカビは、消毒用アルコールでふき取るか煮沸で除去ができます。煮沸する場合は、水温が低いとカビを根絶できないため、カビが死滅する60℃以上のお湯で煮沸してください。また、漂白剤を使用する方法もありますが、絵付けされた陶器の場合は脱色や変色する恐れがあるため、酸素系漂白剤を薄め、目立たないところで試してから使うなど注意してください。

不要になった古美術品は思い切って売却のご検討を

お掃除を進めるなかで不要に感じたお品や、身内やご友人に引き取り手がいないお品が見つかった場合は、売却のご検討をしてみると良いかもしれません。ご自身では不要になったお品でも、実は専門家に見てもらったら思わぬ価値がついた、というケースはとても多いです。捨ててしまう前に、一度専門会社に相談してみてください。

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最後に

一年はあっという間に過ぎてしまうからこそ、季節の行事を大切にして、残る半年も無事に過ごせるように、「夏越の祓」で心身とお家のリセットをしてみましょう。

 

 

担当

お役立ちコラム編集室 MIYO

サイトコラム編集者

猫と藤田さんの作品が好き。お片付けや美術品を持つ方のお役に立てるコラムを定期更新中です。