
金銅鈴(こんどうれい)
この度、金銅鈴(こんどうれい)2点をお譲りいただきました。仏教美術品の中でも歴史的価値の高い逸品です。
今回買取させていただいたのは、形状と装飾が異なる2点の金銅鈴です。左側のものは球形に近い伝統的な形状で、表面に精緻な唐草文様が施されています。この文様は日本の仏教美術の伝統的意匠として用いられてきました。
右側の鈴は、より実用的な扁平形状を持ち、上部に特徴的な持ち手が設けられています。この形状は密教法具としての機能性を重視した設計で、扱いやすさを考慮したものと考えられます。両鈴とも青銅製で、長年の使用により美しい緑青(ろくしょう)が発生し、古雅な風情を醸し出しています。
金銅鈴は単なる装飾品ではなく、仏教儀礼において重要な役割を果たす法具です。その清澄な音色は「法音」として捉えられ、邪気を払い、仏の教えを広める象徴とされてきました。特に密教では、鈴の音は空性の智慧を表現するものとして、修法に欠かせない道具として用いられています。
これらの鈴に見られる丁寧な装飾は、仏への敬意と信仰心の表れであり、製作に携わった職人の高い技術力を物語っています。江戸時代の金工技術の粋を集めた作品として、美術史的価値も非常に高いものです。
査定にあたって以下の観点から総合的な評価を行いました。
・製造年代:銅の質感、緑青の状態、房紐の材質や結び方などから製造年代を推定
・保存状態:両鈴とも音色に影響する亀裂や大きな損傷がなく、良好な保存状態
・装飾技法:唐草文様の彫りの深さや線の流れから、熟練工による手作業の痕跡を確認
・希少性:一対として残存している点と、異なる形状を持つ組み合わせの珍しさ
仏教美術品は単に古いだけでなく、その背景にある宗教的意義と芸術的価値を総合的に評価することが重要です。今回の金銅鈴は、当時の人々の信仰心と当時の優れた工芸技術を現代に伝える貴重な文化遺産として、適正な価格で買取させていただきました。
古美術永澤では仏教美術品に精通した専門スタッフが、お客様の大切なお品物を丁寧に査定いたします。古い鈴や仏具をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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