
「利用通宝(りようつうほう)」をお譲りいただきました。
利用通宝は、「三藩の乱」で知られる呉三桂が1673年から鋳造した叛徒銭(はんとせん。中央政府が発行した貨幣ではなく、反乱軍などが独自に鋳造した硬貨のこと)です。皇帝が発行した明銭にはその時期の元号が冠されるのが通例ですが、利用通宝の「利用」は年号と関係がありません。のちに昭武帝と称した呉三桂が自身の治世の名を冠した「昭武通宝」を発行したのが1678年のことでした。
利用通宝、昭武通宝、呉三桂の孫である呉世璠が発行した「洪化通宝」、そして福建の耿精忠が発行した「裕民通寳」といった三藩の乱に関連する貨幣は「三藩銭」と呼ばれています。藩王により鋳造された銭の他に、明朝末期の農民反乱軍により鋳造された銭貨もまた、三藩銭と呼ばれることがあります。
反乱勢力の貨幣である三藩銭は、短期間しか発行されなかったことや、清朝による三藩の乱鎮圧後に回収・鋳潰しの対象となったという歴史的背景から、現存するものは大変貴重です。また、利用通宝には文字の太さやバランスが異なる「変種」が多数存在し、珍しい書体はコレクターの間で高値で取引されています。
三藩銭はまさに当時の動乱を物語る歴史の証人と言えるでしょう。
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