
東山魁夷による木版画作品「朝雲」です。青を基調とした幻想的な山並みに、朝もやが立ち込める情景が描かれています。静かで清澄な気配に包まれた風景は、魁夷芸術の大きな特徴である「自然と人の心の交感」を端的に表しています。
東山魁夷(1908–1999)は昭和を代表する日本画家であり、文化勲章受章者です。ドイツ留学で西洋絵画を学んだ後、日本画の伝統的な技法に独自の抒情性を融合させ、戦後日本画の再興を牽引しました。山水・樹木・湖などを題材にした作品は、観る者に深い精神性と安らぎを与えることで広く知られています。
本作「朝雲」では、幾重にも重なる青の濃淡によって山々の奥行きが表され、霧の流れが画面全体に静かなリズムを生んでいます。魁夷独特の青の表現は「魁夷ブルー」とも称され、鑑賞者を深遠な自然の世界へと誘います。木版画ならではの柔らかい濃淡の重なりが、原画の雰囲気を巧みに伝えている点も見逃せません。
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