
東山魁夷による木版画作品「花明り」です。満開の白い花を咲かせた樹木が画面手前に大きく広がり、その背後には深い森と満月が浮かぶ夜空が描かれています。淡い月光に照らされた花々が闇の中でひときわ輝きを放ち、幻想的で静謐な世界を生み出しています。
東山魁夷(1908–1999)は、戦後日本画を代表する巨匠であり、自然と人の精神を重ね合わせる抒情的な作風で知られます。彼の作品は、山や湖などの風景を題材に「静けさと祈り」を表現することを特徴とし、独自の青の色調は「魁夷ブルー」と称され高く評価されています。
「花明り」は、魁夷の花鳥図的な側面を示す作品であり、月下に咲き誇る花を光そのものとして捉えた独特の感性が光ります。花を単なる植物ではなく「夜を照らす明かり」として象徴的に表現し、自然と精神性を融合させる魁夷芸術の真骨頂が示されています。
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