
藤田嗣治によるリトグラフ「パンを持つ少女」をお取り扱いさせていただきました。藤田は1886年に東京で生まれ、東京美術学校で日本画を学んだのち、渡仏してエコール・ド・パリの中心的存在として国際的に活躍しました。乳白色の下地に繊細な線描を重ねる独自の技法で知られ、とりわけ裸婦像や少女像は彼の代表的なモチーフのひとつです。
本作「パンを持つ少女」では、日常的なモチーフであるパンと少女を組み合わせ、シンプルながらどこか寓話的な雰囲気を漂わせています。フランスの田舎町を背景に描かれた少女は、生活の温もりを象徴する存在であり、藤田が西洋文化の中で見出した素朴な情景美を表しています。少女像は藤田の作品群の中で特に人気が高く、柔らかで穏やかな色彩は親しみを与えると同時に、彼が日本人としての感性とヨーロッパ的叙情を融合させた成果の一端を示しています。
藤田はこういった「パンを持つ少女」というモチーフの作品を数多く手掛けており、彼の好んだ題材であったことが伺えます。
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