
須田剋太「人物」です。須田剋太(1906–1990)は大阪出身の洋画家で、戦後日本の表現主義を代表する存在です。絵筆を通じて人間の生命の鼓動や情熱を描き出し、アカデミックな画壇の流れとは一線を画しました。重厚な色面と荒々しい線の重なりが独特の迫力を持ちます。
彼の名を広く知らしめたのは、作家・司馬遼太郎との共作による紀行シリーズ『街道をゆく』でした。須田は司馬と全国を旅し、その土地の風土や人々を墨と筆で即興的に描きました。司馬が文章で日本の記憶を綴ったように、須田は絵によってその土地の息づかいを記録しました。両者は互いに信頼を寄せ合い、司馬遼太郎は須田の画業を「魂を描く人」と称えました。
須田は本作のような「任侠の人」を何度も描いています。彼が文明化され洗練された美ではなく、人間の根源的なエネルギーや、生の葛藤を体現する存在を選んで描いていたことが伝わります。
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