
こちらは江戸の花名勝会のうち「ま 五番組 尾上多見蔵/赤坂御門外/赤坂」です。
「江戸の花名勝会」は歌川豊国三代(初代国貞)の役者絵を中心に、複数の絵師の絵を一枚に配した 「貼交絵(はりまぜえ)」。江戸町火消「いろは四十八組」の各組を代表する名所旧跡を紹介する形で、絵には各組の纏が描かれ、また、その地にゆかりの歌舞伎の演目、当時の人気歌舞伎役者などが描かれています。
役者絵には「奴凧(やっこだこ)」に扮した尾上多見蔵(おのえ たみぞう)が描かれています。「奴(やっこ)」はもともと、「家つ子」(やつこ)と書き、武家で働く者の中でも低い身分の武家奉公人を蔑むのときの呼び方だったそうです。そこに、しもべを表す「奴」という字を当てました。「奴」というと大名行列で荷運びをする槍持奴を指すことが多く、槍持奴の多くは、髪を撥鬢(ばちびん)に結び、鎌髭(かまひげ)をはやし、冬でも袷(あわせ)一枚という独特な風貌をしていたようで、彼らの風貌を凧に描いたのが「奴凧」のはじまり。
元来身分が低いはずの「奴」が、高く上がって大名屋敷などを見下ろすことになるという、奴たちの上昇志向や身分の高い者たちに対するちょっとした鬱憤から誕生したそうです。
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