
こちらは三代 歌川豊国・歌川広重「双筆五十三次 日坂 無間」です。
双筆五十三次は広重と三代豊国の合作で、広重が画面上部の「コマ絵(窓枠のような小さな枠)」に各宿駅の風景を描き、人物を三代豊国が描いた大判錦絵 全55図の連作です。
髪に簪をいくつも挿して、険しい表情を浮かべ柄杓を振り上げている女性の名は梅ヶ枝と言い、人形浄瑠璃や歌舞伎で有名な「ひらがな盛衰記」の登場人物です。梶原景季の恋人で、本名を千鳥というが、劇中の「神崎千年屋」の場では遊女となり梅ヶ枝を名乗っています。景季が出陣するに際し鎧が入用となるが、鎧は三百両で質に入れてあり、お金を工面したいが方法がなく、途方に暮れた梅ヶ枝は「無間の鐘」の伝説に見たて、手水鉢を柄杓で打っています。無間の鐘の伝説とは、小夜の中やの近くの無間山の観音寺にある「無間の鐘を打つと、現世では富を得るものの来世では無限地獄に落ちる」というもの。無限山は日坂宿の北にあるやまで本図のコマ絵の遠景にも描かれています。
金谷宿を出て西に向かうと、途中で鎌倉時代の古い宿駅である菊川宿を経た後、小夜の中山の尾根道を経て日坂宿へと辿りつきます。
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