
こちらは三代 歌川豊国・歌川広重「双筆五十三次 藤沢 照天姫」です。
双筆五十三次は広重と三代豊国の合作で、広重が画面上部の「コマ絵(窓枠のような小さな枠)」に各宿駅の風景を描き、人物を三代豊国が描いた大判錦絵 全55図の連作です。
女性がいざり車(車椅子)を引いている場面が描かれています。女性の名は照手姫(てるてひめ)。描かれてはいませんが、いざり車に乗せられているのは小栗判官。これは、歌舞伎や浄瑠璃の「照手車引の段」をそのまま描いたものです。約600年前、戦に敗れて常陸国へ逃れた小栗判官は、横山家の照手姫と恋に落ちますが、毒殺され地獄へ落ちます。閻魔大王の同情で餓鬼阿弥の姿で蘇生した小栗は、高僧の助けで木の車に乗せられ熊野の湯の峰を目指します。流浪の身となっていた照手姫は、偶然見かけた餓鬼の供養のため、その車を引いて旅立ち、長い旅の末に湯の峰に辿り着き、つぼ湯で49日間の湯治を施すと小栗は元の姿に復活した、という伝説です。餓鬼阿弥になった判官を熊野に送りおどける手助けをしたのは藤沢の遊行寺(現在の清浄光寺)の上人であったとされています。
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