
こちらは三代 歌川豊国・歌川広重「双筆五十三次 三嶋 於千」です。
双筆五十三次は広重と三代豊国の合作で、広重が画面上部の「コマ絵(窓枠のような小さな枠)」に各宿駅の風景を描き、人物を三代豊国が描いた大判錦絵 全55図の連作です。
大きな帯をし、背中には尺八を、帯には一本の太刀をさし、将棋の駒をあしらった模様が印象的な着物を着た女性の名前は「三島のおせん」と呼ばれる人物で、江戸時代の芝居に登場します。おせんに向かい合う男性を、おせんは片手で軽々と押さえつけており、腕のたつ女性ということがわかります。「おせん」は古いものでは寛政2(1790)年に大阪で人形浄瑠璃として演じられた「恋伝授文武陣立(こいでんじゅ ぶんぶのじんだて)」という舞台があり、ここでおせんは方丈時政に滅ぼされた伊藤祐清の女房役として登場した。また、ちょうどこの絵が出版された安政元年8月の上演です。「吾嬬下五十三驛(あずまくだりごじゅうさんつぎ)」という歌舞伎の舞台にも、三島のおせんは登場しており、この舞台でおせんは、実は盗賊であるという設定で演じられていました。本図はこの上演を意識して書かれたものと思われます。
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