
三代 歌川豊国(歌川国貞)による浮世絵「東海道五十三次の内 川崎神奈川間 生麦村 由良兵庫(かわさき かながわかん なまむぎむら ゆらひょうご)」です。
「役者見立東海道」と呼ばれるシリーズ作品の一つで、手前に役者絵、背景に演目や登場人物に関係する宿場の風景(この場合は生麦村)が配されており、歌舞伎役者の五代目 市川海老蔵が「由良兵庫之助信忠(ゆらひょうごのすけのぶただ)」に扮している様子が描かれています。
由良兵庫は歌舞伎演目『神霊矢口渡(しんれいやぐちのわたし)』の登場人物です。
由良兵庫が活躍する「神霊矢口渡」の第二幕「由良兵庫之助新邸の場」は2015年に中村吉右衛門によって約100年ぶりに復活上演され話題となった幻の段です。
由良兵庫の主君は、南朝方の武将である新田義興とその弟・義峯です。足利方の策略によって義興が殺害された後、兵庫は義峯を助け、新田家の再興を図るために奔走します。
武力的な活躍よりも、むしろ知略と深い忠誠心をもって主君を支える姿に、その真骨頂があります。忠臣でありながら敵の目を欺かなければならない葛藤や、主君を守るための決死の覚悟が、役者の演技によって表現されるこの場面は、この役柄の活躍を示す重要なシーンです。
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