
三代 歌川豊国(歌川国貞)による浮世絵「東海道五十三次の内 川崎神奈川間 吉田 ふじや伊左衛門(よしだ ふじやいさえもん)」です。
「役者見立東海道」と呼ばれるシリーズ作品の一つで、手前に役者絵、背景に演目や登場人物に関係する宿場の風景(この場合は吉田)が配されており、歌舞伎役者が「藤屋伊左衛門」に扮している様子が描かれています。
藤屋伊左衛門は歌舞伎演目「廓文章(くるわぶんしょう)」に登場する立役(たちやく)のなかでも、若く優しい色男の恋模様を描く「和事(わごと)」の役柄です。商家の若旦那である藤屋伊左衛門は、育ちが良いのに親から勘当されたことで落ちぶれた姿でなじみの遊女を訪ねます。
伊左衛門の衣裳は、「紙衣(かみこ)」とよばれます。この衣裳は、若旦那や若殿が零落した「やつし」とよばれる設定で使用されます。本来の紙衣は、和紙を貼り合わせて作られた質素な着物ですが、舞台衣裳として、恋文の一節を金や銀の糸で縫い取った模様で表現され、舞台で映えるようにデザインされています。
「和事」の役は色男の典型であるため、化粧は美しく真っ白な「白塗り」で表現します。
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