
歌川国政(二代目歌川国貞)(1823–1880)による浮世絵です。1861年の作品です。
本作は歌舞伎の役者絵で、本来は「中村芝翫」と合わせて三枚続なのですが、そのうちの二枚となります。
それぞれ役者の舞踊場面を描いた「踊り物」で、歌舞伎独特の舞踊を披露しています。
左の役者、中村雀之助と中村桃三は「中村屋」という歌舞伎の名門一門に属する役者です。「雀踊り(すずめおどり)」は、初期の歌舞伎に登場する人気の踊りの一つで、雀が飛び跳ねるような動きを真似る滑稽味のある所作が特徴です。仙台藩のお祭りの踊り(伊達雀踊り)などをルーツに持ち、踊りをメインとする初期の歌舞伎にはなくてはならないものでした。
右の役者、沢村田之助は「舟頭」役で、歌舞伎において粋で威勢のいい人物像をイメージして踊っています。この三代目田之助(1845–1878)はこの時期に人気絶頂の若手女形で、「絶世の美少年」と呼ばれ、舞台では舟頭・茶屋娘・芸妓など多彩な女方を務めていました。年齢的にも16歳前後で、当時の浮世絵に頻繁に登場しています。
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