
浮世絵師の歌川国貞(三代目歌川豊国)による役者絵です。1863年の作品となります。
五代目 板東彦三郎が演じる斎藤実盛が描かれています。
歌舞伎の「実盛物語」に登場する実盛は平安時代末期の武将で、
元は源氏に仕えたが、時勢の流れで平家に仕えるようになった人物です。
年老いて白髪になっても、墨で黒く染めて若々しい姿で大将らしく戦に挑み、討死するという勇ましさや、平家と源氏の板挟みになる悲劇性を持つ役です。
衣装には平家の揚羽蝶紋(あげはちょうもん)が大きく描かれています。これは歌舞伎衣装の典型的なもので、「この人物は平家や源平合戦に関わりのある人物」と一目で観客に伝えるための仕掛けです。
また、歌舞伎の慣例で、青は源氏方を象徴し、赤は平家方を象徴することが多いです。
本作の衣装は青を基調に、赤を差し色にしていることで、
実盛が現在は平家の人間だが、源氏の恩義を忘れていないことが示唆されます。
また、左の豊国のサインの近くに「七十七歳」とあり、これは豊国が77歳の時の作品だと分かります。
江戸後期、特に三代目豊国は晩年に自分の年齢をサインの横に書くことがよくありました。
長寿を誇るサインの一部として入れています。
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