
江戸時代後期の土佐派の宮廷絵師である、土佐光孚(とさ みつざね、1780-1852)による甲冑図の掛け軸をお譲りいただきました。
土佐派は代々、宮中絵画を任された大和絵の正統派です。こちらは公家好みの洗練された美意識と気品が、画面全体から漂っています。兜の輝き、そして甲冑の胴や袖の一筋一筋にいたるまでが緻密かつ等間隔に描かれています。これほど細部を乱れなく描き切る描写は光孚ならではの手腕といえます。全体としては静物画の構図をとっていますが、不思議と強い生命感やエネルギーを感じさせる作品です。
また画面右下の落款には「畫所預正五位下土佐守藤原光孚」と書かれています。この署名は、藤原氏の家系を引く土佐派の絵師の本名「藤原光孚」とともに、朝廷から授かった位階「正五位下」、歴代が受領した名誉ある官職「土佐守」、宮廷の絵画制作機関の最高責任者である「画所預(えどころあずかり)」の職名を連ねたものです。当時の光孚の格式の高さが伺えます。
古美術永澤では、このような名品を次代へと引き継ぐお手伝いをしております。お手元に眠っている掛け軸や絵画、大切にされてきたコレクションの整理をご検討の際は、ぜひ私どもにご相談ください。
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