
三代 歌川豊国(歌川国貞)による浮世絵「東海道五十三次の内 沼津 荷物平作(ぬまづ にもちへいさく)」です。
「役者見立東海道」と呼ばれるシリーズ作品の一つで、手前に役者絵、背景に演目や登場人物に関係する宿場の風景(この場合は沼津宿)が配されており、嵐猪三郎(あらし いさぶろう)が「荷物ち(にもち)の平作」に扮している様子が描かれています。
平作が登場する「伊賀越道中助六(いがごえどうちゅうすごろく)」の「沼津の段」は、呉服屋の十兵衛と荷担ぎの平作が偶然出会い、道中を共にするうちに生き別れた父子と判明するが、仇討ちの敵味方という立場で苦悩し、平作が命を捨てて十兵衛から敵の行方を聞き出すという、人情と義理が交錯する哀切な物語です。旅の途中で出会った他人同士の情愛と、仇討ちの義理の間で葛藤する十兵衛の心情が、特に千本松原での劇的な別れの場面で描かれ、観客の心を打ちます。
複雑な事情と人間関係が織りなすこの物語は、義理と人情の板挟みの物語として当時の人々に受け入れられ、平作じいさんの胸中は、後々の人々の心をうち、語り伝えられ、ゆかりの地には「平作地蔵」という子育て延命地蔵が安置されています。
関連買取実績
-
こちらは豊原国周の梅幸百種之内「忠臣いろは実記 清水一學(一角)」です。 「梅幸百種(ばいこうひゃくしゅ)」とは、梅幸という歌舞伎役者が扮した100種の役を豊原国周(とよはら...
2026.07.18
-
こちらは江戸の花名勝会のうち「ま 五番組 尾上多見蔵/赤坂御門外/赤坂」です。 「江戸の花名勝会」は歌川豊国三代(初代国貞)の役者絵を中心に、複数の絵師の絵を一枚に配した 「...
2026.07.05
-
2026.06.29
-
こちらは「東海道名所風景 左側: 二代 歌川広重「東海道 石薬師」/右側: 二代 歌川広重「東海道名所之内 四日市追分」」です。 「東海道名所風景」は文久三年の四月から七月に...
2026.05.30








