
こちらは江戸の花名勝会のうち「く 五番組 坂東彦三郎/四ツ谷お岩稲荷社/四ツ谷」です。
「江戸の花名勝会」は歌川豊国三代(初代国貞)の役者絵を中心に、複数の絵師の絵を一枚に配した 「貼交絵(はりまぜえ)」。江戸町火消「いろは四十八組」の各組を代表する名所旧跡を紹介する形で、絵には各組の纏が描かれ、また、その地にゆかりの歌舞伎の演目、当時の人気歌舞伎役者などが描かれています。
役者絵には歌舞伎『東海道四谷怪談』に登場する怨霊「お岩の亡霊」に扮した坂東彦三郎が描かれています。民谷伊右衛門(たみやいえもん)の妻であるお岩は、父を殺され、夫からも裏切られて毒薬を飲まされます。顔が崩れ落ちたお岩は、夫が別の女性と祝言をあげる最中に無惨に死んでしまいます。その後、お岩の怨霊は伊右衛門を幾度となく恐怖のどん底に陥れ、伊右衛門は自らの悪行と亡霊の祟りによって破滅へと向かってしまうという物語です。
それに関連して、左下に描かれているのは、お岩を祀っていることで有名な「お岩稲荷(陽運寺)」です。お岩は史実では夫と仲睦まじい良妻賢母であったことから、現在では「悪縁を切り、良縁を結ぶ」ご利益があるパワースポットとして信仰されています。
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