
こちらは江戸の花名勝会のうち「え 五番組 河原崎権十郎/竜川笄橋貞世の関/竜土」です。
「江戸の花名勝会」は歌川豊国三代(初代国貞)の役者絵を中心に、複数の絵師の絵を一枚に配した 「貼交絵(はりまぜえ)」。江戸町火消「いろは四十八組」の各組を代表する名所旧跡を紹介する形で、絵には各組の纏が描かれ、また、その地にゆかりの歌舞伎の演目、当時の人気歌舞伎役者などが描かれています。
役者絵には「武蔵五郎貞世」に扮した河原崎権十郎が描かれています。武蔵五郎貞世は『前太平記』において、平将門の忠臣・興世王の嫡男として登場します。わずか16歳で出陣した「辛島合戦」が最大の活躍舞台です。彼は敵の放った無数の矢を、得意の鉄扇で見事に打ち落とす神技を披露し、敵陣を驚嘆させました。しかし、ついに力尽きて13本の矢を受け、壮絶な討死を遂げます。その若く勇敢な散り様は、のちに多くの武者絵の題材となり、悲劇の若武者として語り継がれました。
また、本図タイトルの地名である「龍土」は現在の東京都港区六本木七丁目付近の旧町名です。
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