
こちらは江戸の花名勝会のうち「百 二番組 岩井紫若/茅場町」です。
「江戸の花名勝会」は歌川豊国三代(初代国貞)の役者絵を中心に、複数の絵師の絵を一枚に配した 「貼交絵(はりまぜえ)」。江戸町火消「いろは四十八組」の各組を代表する名所旧跡を紹介する形で、絵には各組の纏が描かれ、また、その地にゆかりの歌舞伎の演目、当時の人気歌舞伎役者などが描かれています。
役者絵には「元結師文七(もとゆいし ぶんしち)」に扮した岩井紫若が描かれています。作中で文七は、近江屋の奉公人として登場しますが、江戸時代には実際に「元結師(元結職)」と呼ばれる専門の職人たちが腕を競っていました。彼らが作る美しく上質な元結は、江戸の男性たちの身だしなみを整える上で欠かせないアイテムでした。元結とは、江戸時代に髷(まげ)の根元を結い束ねるために使われた紙製の紐のことです。中でも、非常に白く艶のある上質な和紙で作られたものは「文七元結」と呼ばれます。
上部と左下には当時ブームだった植木に関連した絵が描かれています。江戸の町に植木屋が増え始めたのは、明暦の大火後のこと。町の復興途上において起きた造園ブームによって、植木の需要が出てきたからだと言われています。
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