
こちらは豊原国周の梅幸百種之内「水天宮利生深川(すいてんぐうめぐみのふかがわ) 筆師(屋)幸兵衛」です。
「梅幸百種(ばいこうひゃくしゅ)」とは、梅幸という歌舞伎役者が扮した100種の役を豊原国周(とよはらくにちか)が版画であらわしたもので、梅幸とは幕末から明治にかけて活躍した名優、五代目 尾上菊五郎の俳名です。全100図にわたって描き出した国周の晩年の代表作として知られています。
旧幕臣・船津幸兵衛は、明治維新により没落士族となり、筆を売って細々と暮らしています。妻に先立たれ、盲目の娘・お雪、乳飲み子を抱えた生活は苦しく、高利貸しや代言人の取り立てに、身ぐるみ剥がされてしまいます。絶望した幸兵衛は一家心中を決意するも、子供たちを前に、ついに辛さあまって発狂。暴れる幸兵衛を、車夫・三五郎(本図左上)がなだめるるも乳呑み子の幸太郎を抱えたまま駆け出し身投げしてしまいます……。野次馬が囲む中、救出された幸兵衛は、飛び込んだときの衝撃で正気に戻り、乳飲み子も幸兵衛が持って居た水天宮の碇の額で水を飲まずに無事であった。これも水天宮様の御利益と、みんなが喜び合う物語です。
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