
こちらは豊原国周の梅幸百種之内「東花一座顔見勢(あづまのはないちざのかおみせ) 将門 平将門」です。
「梅幸百種(ばいこうひゃくしゅ)」とは、梅幸という歌舞伎役者が扮した100種の役を豊原国周(とよはらくにちか)が版画であらわしたもので、梅幸とは幕末から明治にかけて活躍した名優、五代目 尾上菊五郎の俳名です。全100図にわたって描き出した国周の晩年の代表作として知られています。
悪人が善人側をおさえて、家来に殺させようとする危機一髪に、豪勇の英雄が「しばらく」との声と共に登場し、悪を懲らしめるという演出の型があり、これを『暫(しばらく)』と呼びます。江戸歌舞伎では、毎年11月、俳優たちが1年間の出演契約をしたお披露目をする「顔見世」で、演目のなかに一座の主な役者を一堂に見せるための定番の『暫』を組み込むのが暗黙の了解でした。現在は『暫』として独立した一幕として演じられることが多いです。皇位に就こうとする将門が、反対する者たちの首をはねようとあわやとなったとき、「しばらく」の声とともに登場する館金剛丸照忠(たてのこんごうまるてるただ=本図左上)。本図は悪役の将門を迫力いっぱいの構図で捉えられています。
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