
こちらは三代 歌川豊国・歌川広重「双筆五十三次 蒲原 宿引」です。
双筆五十三次は広重と三代豊国の合作で、広重が画面上部の「コマ絵(窓枠のような小さな枠)」に各宿駅の風景を描き、人物を三代豊国が描いた大判錦絵 全55図の連作です。
男性を引っ張っている女性は「留女(とめおんな)」と呼ばれる、宿場の旅籠屋の前で客引きをする女性達のことです。そのやり方はずいぶん荒っぽいものと見え、本図ではがっしりと右手を旅人の左手に絡ませ、力任せに旅籠屋の入り口へと引っ張っており、よく見ると女の左手には旅人のものと思われる行李などの荷物も握られています。
コマ絵の方には、画中の書き込みに「不二川舟渡」とあるように、手前の川は富士川(不二川)です。この川は急流で徒歩渡しは難しく、舟渡でした。江戸末期の1845年、江戸から東海道を通り伊勢参りをした旅人の備忘録に「富士川渡し24文」の記載があったそうです。蕎麦一杯が16文(約400円)だった時代の値段、現代の貨幣価値でいえば、冨士川渡しは約650円程度だったそうです。
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